Q 委託者の地位は、相続されますか?

A 委託者の相続人は、委託者が有していた信託法上の権利義務を相続により承継します(信託契約書で相続により承継されない旨を定めることは可能です)
ただし、遺言信託の場合は、原則として、委託者の地位は相続により承継されない(信託法第147条)。

Q 家族信託は、どのような場合に終了しますか?

A 家族信託の終了事由は、信託法第163条及び第164条に列挙されていますが、そのうち、重要なもののみを挙げると、以下のとおりです。
①委託者と受益者の間で合意がされたとき。
②信託の目的を達成したとき又は信託の目的を達成することができなくなったとき。
③受託者が受益権の全部を固有財産で有する状態が1年間継続したとき。
④受託者が欠けた場合であって、新受託者が就任しない状態が1年間継続したとき。
⑤信託行為において定めた事由が生じたとき。

Q 家族信託の終了事由が発生すると、どうなりますか?

A 家族信託の終了事由が発生すると、信託の清算手続が開始します。
清算手続き開始後の受託者のことを「清算受託者」と呼びます。
清算受託者は、①現務の結了、②信託財産に属する債権の取立て及び信託債権に係る債務の弁済、③受益債権に係る債務の弁済、④残余財産の給付といった職務を行わなければなりません(信託法第175条~第177条)。

Q 家族信託の清算手続において、残余財産は誰に帰属しますか?

A 信託契約等で残余財産の帰属権利者等を指定していた場合には、その者に帰属します。
信託契約書等行為に、帰属権利者等の定めがない場合には、委託者又はその相続人に帰属します。残余財産の帰属が定まらないときは、清算受託者に帰属することになります(信託法第182条)。

Q 家族信託の清算手続が完了した後、清算受託者は、どのような事務を行う必要がありますか?

A 清算受託者は、その職務が終了したときは、遅滞なく、最終の計算を行い、信託が終了した時における受益者及び帰属権利者の全てに対し、その承認を求めなければなりません。
そして、受益者及び帰属権利者がその計算の承認を行い、かつ、清算受託者の職務執行に不正がなかったときは、清算受託者の責任は、免除されたものとみなされます(信託法第184条)。