1.家族信託とは

 家族信託とは、①自身の財産を、②信頼できる人に託し、③家賃等の利益を得る人のために、④一定の目的に従って、管理・運用・処分をしてもらう財産管理の一手法のことです。

 下記の図で説明すると①父Aの財産を、②信頼できる長男Bに託し、③家賃等の利益を得る父Aのために④一定の目的に従って、管理・運用・処分などの財産管理を長男Bが行います。


上記の図では、父A委託者受益者長男B受託者となります。

2.認知症対策の家族信託の仕組み

信託契約の不動産に対する権利

不動産の所有者(オーナー)である父Aは、信託契約をするは、土地や建物に対して所有権という権利を持っています。
この所有権という権利は、次の2つの権利をあわせたものです。
① 不動産の管理処分権(その不動産を売ったり、修繕したり、賃貸したりする契約を締結する権利)
② 不動産の使用収益権(その不動産から得られる家賃や売却代金をもらったり、不動産に住む権利)

信託契約の不動産に対する権利

信託契約をしたは、所有権管理処分権使用収益権の2つに分かれて、所有権のうち、管理処分権長男Bに移転し、使用収益権のみが父Aの元に残ることになります。

 これにより、長男Bが、管理処分権に基づき、賃貸アパートを売ったり、修繕したり、賃貸したりすることができます。
父Aは、使用収益権に基づき、賃貸アパートの家賃や売却代金をもらったりすることができます。
将来父Aが認知症になっても、長男Bの権限で、不動産の大規模修繕契約、賃貸借契約や売買契約を締結することが可能になります。